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地球ごみ戦争に突入

地球ごみ戦争に突入

地球ごみ戦争に突入 日本の技術を世界に

北海道新聞 夕刊 文化欄

2007年3月1日の北海道新聞(夕刊)の文化欄にオストランド代表取締役 八太昭道執筆の記事が掲載されました。タイトルは「地球ごみ戦争に突入 日本の技術を世界に」

2007年3月1日 北海道新聞(夕刊) 文化欄

地球ごみ戦争に突入 日本の技術を世界に

八太昭道

 大寒に訪れた札幌は「雨」だった。青森は今年百年ぶりの少雪、昨年は記録的大雪という。積雪量は毎年変動するのが「自然」とはいえ、百年ぶりの少雪と五十年ぶりの大雪が連続して起きる確率はゼロに近いと考えると、この変動は「人為」と見るべきだろう。天の営みをも変えてしまう人為とは何か。それは地中の炭素を利用したあと「いらないもの(ごみ)」として大気に捨てる経済活動である。大気に投棄され蓄積した(二酸化)炭素は、世界各地で洪水、熱波、寒波による「無差別大量殺人」、国土喪失・環境難民の大量発生、家財の損傷、土木・建築構造物の崩壊、疫病、飢餓、資源争奪の激化を引き起こす。その災禍のひどさはまさに戦争そのものだ。われわれはそうと気づかないうちに地球規模の百年戦争に突入しているのだ。

 人類を滅亡させようと襲い掛かる敵の正体は「ごみ」、必要なものを得るとき必ず出てくる(固体・液体・気体状の)不用な物質である。透明無害でわれわれに身近な(二酸化)炭素という「気体のごみ」が、恐ろしい敵の正体なのだ。京都議定書はこの難敵への「宣戦布告書」、これが発効した二○○五年二月十六日は「地球ごみ戦争」開戦日だ。しかしこの戦争の前途は楽観できない。最大の排出国アメリカも、排出急増の中国も作戦に加わっていない。そして何よりも、倒すべき敵は味方の内部に潜んでいるからだ。 「地球ごみ戦争」の大義は人類の持続的発展。そのために必要なのが「ごみゼロ社会」すなわち、大気中の「ごみ」量を一定に維持する仕組みをビルトインした社会だ。「ごみ」は必ず出る。そのことが問題なのではなく「無法」状態で投棄している現状が問題なのだ。「無法投棄」をやめて「ごみ(の増加を)ゼロ」に抑える制度を作りそれを遵守する。そのとき、われわれは、飢餓と貧困を克服し健康で文化的な生活を営みつつ地球環境を維持して未来の人類への責任を果たしていくことができる。

 「地球ごみ戦争」の勝利に向けた戦略(政治)・戦術(技術)が必要だ。日本の現状はどうだろうか。

 「地球ごみ戦争」の最前線で戦っているのはEUだ。炭素税を課し、法律で「ごみ」の責任を受益者に負わせている。日本は「戦争」体制に向けた世論統一がなされていない。経済界の「反戦」気運は強く、国民の「戦意」も盛り上がりに欠ける。では、政治はどうか。

日本には新憲法制定の動きがある。憲法は、その国の依って立つ基盤、その国民の精神姿勢を示すものだ。「政治は国民の知的水準を示す」とすれば、憲法は「国民の顔」であり「ものの見方考え方と行動様式」を現すものとなる。新憲法は「ごみゼロ社会」の実現を宣言する環境条項を中心にすえたらどうか。日本の「非戦憲法」が世界の現実を超えた理想であるのと同じ程度に、「ごみゼロ憲法」はすぐには実現しえないとしても、世界中の誰もが望む理想ではないだろうか。

 明治憲法は「黒船」、日本国憲法は「敗戦」、いずれも外圧が制定の契機となっている。今度こそ自力で世界にアピールする日本の顔を創るときだ。地球スケール百年レンジの骨太な憲法論議を起こしたいものだ。

 廃棄物(固体、液体の「ごみ」)の量はGDPに比例する。これに対し廃棄物埋め立て場所の確保は、GDPに反比例し国土面積に比例して難しくなる。GDP10.2%、面積0.28%の島国日本は、埋め立て場所の容積に限界があるから「ごみ」を減らしリサイクルしゼロに近づけざるを得ない。これは気体状炭素の「ごみ」にも当てはまる。炭素エネルギーを外国に全面依存しているからだ。「ごみゼロ」への挑戦は日本の宿命的課題といっていい。

必要は発明の母という。とすれば、日本は「ごみゼロ技術」を発明し開発する条件に恵まれていることになる。実際、都市ごみの直接埋め立てはゼロに近い。都市ごみのガス化技術を最初に実用化したのは日本だ。それだけではない。「気体のごみ」を半分しか出さない(燃費二倍の)日本の車は世界一の座に迫ろうとしている。青色ダイオードは、照明の「ごみ」を半分にすると期待されている。さらに各種生産工程・最終製品での省エネ性能は世界一といっていい。これらはいずれも日本人が発明・開発した「ごみゼロ技術」:「地球ごみ戦争」を勝ち抜く「武器」である。

 狭い国土、少ない資源の日本にとって唯一の頼りは「人の力」だ。「ごみゼロ憲法」のもと国民の創造力を存分に発揮して「武器」の開発・輸出で経済発展を図りつつ、「新憲法」の理念の普及を目指せば、日本は世界中から「尊敬される国」になるだろう。 ごみは人間の原罪、なくなるものではない。ごみは重さを持つ物質、引力の作用が働くから地球の中に蓄積するしかない。

 「ごみ」を無視し、軽視していると、「ごみ」は人類を滅亡させる「大量破壊兵器」へと転化する。「ごみ」の逆襲が始まろうとしている。 もはや猶予の時間はない。 「ごみ」と共生する地球社会を創らなければならない。「ごみ」を知り「ごみから地球を考える」ことから一歩を踏み出さなくてはならない。

(ごみの自然法則、ごみと社会・経済の関係、「ごみゼロ政治」「ごみゼロ技術」などについて、近著「新版ごみから地球を考える」=岩波ジュニア新書を併せお読みいただければ幸甚である)

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